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DIALOGUE

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本当のことは説明できない

—— そもそもどうしてリクルートを辞めようと思ったんですか?

もともとリクルートには、この会社にずっと勤めようと思って入る人は少ないんですよ。僕もそうだったし、実際同期の連中も20代のうちからどんどん独立していったり、転職していったりとかするわけですよ。そのうち、だんだん30に近づくにしたがって、なんかやばいな、と。やっぱり辞めるなら30までにっていう意識はなんとなくありましたね。
だから、なんかこのままいっちゃったりするのかなーと。

ずーっと昔から無性に留学したいと思ってて。これはほんとに何でか分からないんですけど。まぁ理由をつけたら、子供のころ、父親の仕事の関係でイギリスに4年住んでたっていうのが関係してるのかも知れないんですけど。

リクルートに入ったときに、海外留学制度っていうのがあって、それにずっとチャレンジしてたんです。お金もないし、会社で(留学に)行かせてくれれば辞めなくてすむし、辞めなくてすむというか、選択肢があるというか。で、3年つづけて最終面接までいったんですけど、落ちちゃって。そうこうしているうちに30が近づいてきて、これ会社が行かせてくれるまでずっと待つのかなー、って思ってたんですね。

で、そう思っている時に、ある人との出会いがあって、その人が(私と)同じくらいの年齢の人で、「私、今度留学するんですよ」って話をされて。「どちらですか?」って聞いたら、「アメリカのサンフランシスコ」って言うので、「サンフランシスコだったらバークレーですか?それともスタンフォード?」って聞いたら、「いや、そういうところじゃなくて、ちょっと変わった大学があってね」と言われて。

その人が勉強しようとしていた分野が、俗に「OD」って呼ばれてる分野なんですけど、Organizational Developmentの略で、日本語では組織開発って言われています。これは日本ではあまり大きな学問として根付いてないんですが、要は、組織の中で働いている人が、モチベーションを高く持って、生産性の高い仕事をするところがテーマなんです。その話をされている時に、その方が「これは組織ありきの組織論じゃなくて、人ありきの組織論だ」っていう言葉を言ったんですね。今でも覚えてるんですけど。その言葉がすごく自分の琴線に触れたんですね。

組織論というと、どうしても組織構成とか組織戦略とかいう話になってしまいがちですけど、「中に入って組織を作るのって人じゃない? 人を脇役にして組織のことをいくら語ってもしょうがないんじゃない?」ってなんとなく自分が漠然と思っていたことを、その方が一言で言い抜いてくれて。「ああ、そういうことをやっている学問ならそれしかないな」って。

当時のリクルートには、何年かに1度長期の休暇がとれるっていう制度があって、それを使ってサンフランシスコに行き、その大学の授業を実際に受けさせてもらったんです。その時、自分がそこで勉強しているイメージがすごく湧いたっていうか、なんか自然な感じがすごくしたんですよ。体感って言うか、とても感覚的なものなんですけどね。で、帰って上司に正直に話して、半年後に(会社を)辞めました(笑)。多くの人は先のことを考えるとき、よく頭だけでああでもないこうでもないって考えるけど、最終的に決断を下すときって、実際に動いてみて、経験してみないとわからないことが多いんですよ。

あとは「勢い」っていうものも大事。いくら最初から会社に長くいるつもりはなかったとは言っても、いざ辞めるとなると、やっぱりこわい。MBAをとって将来的にコンサルティング会社にいくっていうならわかるけど、わけ分からない大学で、先が全然見えないわけですよ。「自分の人生どうなるんだろう」ということを真面目に考え始めると、大丈夫かな、って不安にはなりますよね。

そんな時、ふと「何で自分はこんなに留学したいのかな?」って思ったんですよ。昔海外に住んでたから、って言うのもあるかもしれないけど、海外に住んだことある人がみんな留学したいって思うわけじゃないし。「理由がない衝動」っていうか、どうしてもやりたいっていう思いがあって。何でって聞かれても、説明できないから会社の留学制度に何度チャレンジしても落とされちゃうんですよね。「どうしても行きたいんです!」って言うと「君の気持ちは分かるけど、理由が良くわからない」って言われて(笑)。本当は理由のない衝動の方が大事だと僕は思うんですが。

人に分かるように説明できる理由っていうのは、もしかしたら本当の理由じゃないかもしれない。本当の変化につながるのはもっと直感的なレベルで、衝動的なものだと思うんです。

そういうものを抑えて、理屈をつけて、物事を判断したりキャリアを築こうとすると、あたりまえのというか、平凡なというか、他の人がやっていて、それはありえるよな、って言う範囲の行動しかできない。

その「衝動」は天からの贈り物

直感的な、衝動的なものっていうと、周りがびっくりするものっていうか、「何でお前そんなことするんだよ?!」と思われるような行動をとったりするんですね。自分でも良くわからないんだけれども、なぜかそうせずにはいられない、みたいな。こういうことを言うと変に思われるかもしれないですけど、その衝動ってもしかして神から与えられたものかもしれない、とあるときふと思ったんですよ。べつに何か宗教をやってるわけじゃないんですけど(笑)

ここで神を天とおきかえてもいいんだけど、もしそうだとしたら、自分の将来がどうなるか不安であるがためにその選択をしなかったら、これは極端に言うと神に対する冒涜かもしれないと思ったんです。

自分という存在なんて、この地球上から見たら約60億分の1だけど、さらに時間軸でみたら、人生80年90年生きたとしても、地球の150億年でしたっけ? それと比べたら塵みたいな存在ですよ。そんな小さな自分が、「自分が食っていけるかどうか」とかそんな小さな心配してどうするんだって思ったんですね。

そう思ったら、突然吹っ切れたんですよ。そして、晴れて29のときに当初予定していたぎりぎりのタイミングで会社をやめて、留学をしました。

本多喜久雄
本多喜久雄プロフィール
1987年 慶応義塾大学 経済学部卒業。
(株)リクルート入社。1996年同社に所属している時に、アメリカ サンフランシスコにて、コーチングの研修に参加。以来プロフェッショナルコーチとして、社内外で多くのクライアント(コーチングの対象者)の成功をサポート。(株)リクルートのマネージャーとして、社内でのチームビルディングや部下のコーチングを通して、売上げ拡大や新規事業の立ち上げを実現してきた。
2005年に同社退社後、ベンチャー企業のCOOなどを歴任し、コーチングだけでなく「実業で機能するコミュニケーションの技術」を研究、実践中。
米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)
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