GLOBAL COACHING

DIALOGUE

head_dialogue_06

理念の浸透策

渡辺
実践の場面で、これにどんな判断基準をもってくるのかという問いかけなら、現場は非常にのみこみやすいと思いますが、考え方や理念という抽象的なものを浸透させるのには難しさがあると思います。具体的に社員にどうやって浸透させたのかを教えてもらえると嬉しいです。
秋山
コミュニケーションしづらそうな、そもそも論のようなものをどう浸透させていくかですね。これはその会社の歴史をたどり、かつてどんなことがあって、そのときどう意思決定したか。だから今こうなっているんだ、というようなケースを調べ尽くして適切なものを選択し、わかりやすい事例(たとえば先ほどの問題)として示していくという方法が良いと思います。他社の例を言っても、あまり伝わらないんですね。
会社の歴史の中には、その会社の価値観が生まれた瞬間があるので、それを確認するところから問題点を探っていくような感じでしょうか。「先代の社長の時にこのように意思決定した。だから今の会社がここまでになった。で、そのときの理由はこんなことだった」というような、必要な解釈をしていくわけです。
山本
経営理念の中に、可変部分と不変部分という部分があるという点ですが、2代目3代目になると、オーナー経営者が決めた経営理念を浸透させつつも、時代に応じて変えていくんだよっていうふうに、今から言っておくべきなのでしょうか。
秋山
成長過程にある会社の場合は、可変も不変もまだ分かりづらいと思うんです。5年10年経つなかで、振り返ってみて「やはり僕らにとって大事なことってこういうことだよね」と考える場を定期的に設けることが必要です。そのような振り返りの中で、長年続くだけの価値を持ったものは何なのかを考えていくと、時代を超えて残っているものがあるはずです。当座決めた経営理念に肉付けがされて、本当の経営理念になるっていう感じでしょうか。
会社を作って50年くらいたてば、過去の歴史の中で「これが我々の本筋だよね」という言語化した価値として語れると思うんですけど、若い期間はまだ成長期なので「当面これが大事だと思って頑張ってやってます」ぐらいの中で決めていくのが実際のところではないかと思います。
柳澤
理念を変えてどう変わったのか、何か数値化されたものはあるのでしょうか。
もともと持っているA社のマインドみたいのがあって、その誇りを取り戻したっていう話なのか、それとも、もともとマインドのなかった人たちが本気でまとまったという話なのか。
経営理念が重要であるというのは考え方としてはしっくりくるんですけど、僕は採用で8割ぐらいが決まってしまうとも感じているので、変えたことが成果につながったのかどうか、そういう指標みたいなものがあるのかお聞きしたいですね。
秋山
理念がどれくらい浸透したか数値化できるものは、残念ながらありません。A社の事例でも、理念の解釈とコミュニケーションの仕方が成功したから再建がうまく行ったわけではないんです。やっぱりその時の戦略(事業戦略と財務戦略)、その他もろもろの施策と理念に関する様々な施策の合わせたところで最終的に成果が出たということです。
A社に関しては、柳澤さんのおっしゃった通り、A社マインドの復活だと言えます。A社の人たちの中には本来備わっている強さや良さがあるのですが、時代にそぐわない部分が出てきていた。そこでそれを現代風にアレンジして、新しい時代にふさわしいA社マインドに再構築したわけです。決して外から価値を押し付けるというやり方をしたのではありません。会社によっては、外から規範意識を明確にするように徹底的に教育しなければならないタイプもありますが、A社の場合は、こういうやり方がきっと良かったのだと思います。

会社の価値を探求する

秋山
現在、A社は別のグループB社に統合されています。すると、今度はB社の価値観がインストールされます。B社も大変すばらしい会社ですが、あらゆることを定量的データで判断しようとする傾向があります。一方、A社は感性が優れていて、誰も知らない新しい素材を使って成功したりするところがある。数値に表せない感覚的なものを中心に、それとブランドのイメージをうまく重ね合わせるという芸当ができる会社だったんです。この能力がB社の傘下に入った途端に一時期、失われてしまいました。感性的な観点からの価値観の置きどころが、B社には合わないところにも要因があったのではないかと思います。
本多
それは「雇用が大事」といっていたA社が、それよりももっと奥にある究極の価値をつかんだことになると思うんですけど、いかがですか。
渡辺
私も、B社との対比で、A社の良さがあぶりだされたように受け取ったんですが。歴史的な経緯から雇用第一という価値観が成立したということですが、その感覚経営みたいなマインドは脈々と受け継がれていたということですか。
秋山
感覚マインドというのは商品開発やプロモーションのところで発揮される価値です。事業を成功させる上ではそれも大事な価値ですが、会社全体の存在意義になるほどの大きなものではありません。
経営理念とか価値観の話をする時にはある種のむずかしさがあって、深さの感覚とか、重要度とか、番地付けが人によって少しずつ違うんですけね。その中で、その会社の現状において最適な、それらの深さ感、重要度感を探り決めていくのが私たちの仕事なのです。外の視点から見ると「なんでこんな不思議な行為をするんだろう」と思えることを、「どこにその根っこがあるんだろう」と探っていくプロセスは難しくもあり面白くもあります。経営者と社員の理念の共有度を測定するのも大切な問題です。
経営者の方たちには、“すごくこだわらなければならない価値観もあるけど、実はこれはこだわらなくてもいい価値だ”とか、“そうはいってもこれはこだわりたい価値だ”とかいう意思があるのですが、社員側は同じように考えていない。どちらでも良いことを大事だと考え、大事なことをどちらでも良いと考えている。そう言ったギャップを上手に埋めていくことも重要なことです。
1 2 3 4 5 6
Bookmark and Share

▲このページのTOPへ

お問合せ先
株式会社グローバルコーチング
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下1-2-5
e-mail: info@gcoach.jp
URL: http://www.gcoach.jp/